ワーキングホリデーや留学先として理想的な環境
現在のスウェーデンは、新しい文化の体験や自分の視野を広げたい日本の若者にとって魅力的な国です。あなたのワーホリの行先の選択肢として、スウェーデンをお勧めをするいくつかの理由をご紹介します。
先進的な制度
スウェーデンは、他のEUの国々と比べても比較的高い生活水準を維持しています。日本とは違う考え方に基づいた“高福祉=高負担”の社会制度で知られていますが、人々は人生の中でさまざまな社会サービスの恩恵を受けられています。ワーホリや交換留学での数か月間の滞在ではわからないかもしれませんが、国民は求めれば“自分のやりたいことを経済的な理由などで諦めることなく生活ができて、チャレンジすることもできる”という環境が提供されます。世界のどこから来ても、一年以上の滞在許可を得れば正式に住民登録をして“パーソナルナンバー(個人識別番号)”を取得することになります。働き始めるとしっかり税金も払うことになりますが、スウェーデン人と同等の福祉・行政のサービスを受けることが可能になります。ワーホリや留学をきっかけにしてスウェーデンに移住する人は増えています。
第二に、スウェーデンは現代における自由で先端的な考え方を、広くお互いに認め合う国として知られています。性別の平等、LGBT、多文化を容認し共生することに国家としてとても柔軟なことに驚きます。子供から個人を尊重し、人々の自立を促す国家では、個人がさまざまな機会が得られることとと共に、自由に生きる権利と環境が整備されています。
教育制度
スウェーデンでは正式に居住することにより、移民に対するスウェーデン語の語教育を含め、年齢を問わず学びたい人に対して教育の機会を公平に提供しています。それらがほとんどが無料の上に、高校・大学教育を受ける場合は、CSNという学生支援金も受け取れることにも日本人としては驚きます。日本の学校教育と、スウェーデンの“学校で学ぶ”という意味が若干違うのは、スウェーデンでの“学ぶ”の目的は、個人がいつか“学んだ自分の好きなこと”で、経済的に自立ができる人間を育てる支援システムであり、それを国家が提供しているという点です。
スウェーデンでは“学びたい”と思えば、経済的な理由や入学テストで振り落とされることはありません。そして学びたい人は、その人なりのスピードで各段階を終わらせていくことができるのです。もっと学びたければ次の段階へ進むというシステムなので、競争も年齢などでの区別もなく、人生いつでも目標も方向性も変えられます。この“学びたいときに学べる教育制度”は、世界のどこから来ても提供されるということが本当に素晴らしいです。もちろん外国人は、まず語学と奮闘することになりますが、スウェーデン生活を体験してみてから、ここで人生を送る決意を固めることも可能でしょう。
スウェーデンから旅行へ行く
スウェーデンを選ぶ理由は人それぞれですが、北欧の国々ならではの自然景観、果てしなく続く森林、絵のような湖や冬景色、長い海岸線やバルト海へ通じるアーキペラゴと呼ばれる数千もの島々など、多くの日本人にとって比類のない自然を体験することで、人生観が変わることもあるかもしれません。
また“インターレールパス”には1国パスとグローバルパスがあり、グローバルパスではヨーロッパ30カ国以上の地域内、北欧から地中海までを列車で自由に移動できます。追加料金が必要な場合もありますが、これはせっかくワーホリビザを取得している方へぜひお勧めする旅の形です。ぜひ調べてみてください。
日本から見ると“ヨーロッパ”という一括りで見がちですが、比較的生活水準が高いスウェーデンに少し住んでみてから他の国々へ小旅行へ出かけてみると、物事に対する視点も変わり、新たな発見もあるでしょう。当然、日本から行くよりもはかに格安で行けますし、行き方の手段も値段も各種あります。ワーホリだと時間に余裕もあるので、寄り道をしたり思いがけない体験をすることになります。観光地を見に行くだけでない旅行は、新たな気づきを得る貴重な時間と経験になります。
イノベーションに強い国
スウェーデンはイノベーション庁があり、あらゆるテクノロジー分野での技術開拓を重視をしており、先端技術産業や新たなビジネス企業に情熱を持つ若者に対して国を挙げてさまざまな機会を提供しています。特に、高等教育機関では新しい分野で若い専門家を育てること、創造性の芽を育むことを奨励してくれます。スウェーデンの会社は世界を舞台にビジネスを展開しているところも多く、日本人としてあなたの能力を発揮するチャンスを探すこともできるでしょう。
上記のようなことは日本人が漠然と思い浮かべる憧れのスウェーデン像であり、確かに日本にはない優れた福祉・セーフティーネットなどの行政サービスがあるので、個人がリスクを恐れずに前進ができるという安心感もある社会というのは本当です。
現在のスウェーデン
スウェーデンは世界レベルからすれば平等主義的であり、現在もある程度は安全に日常生活が送れる豊かな国とは言えます。少し前まではスウェーデン国内での国民性や文化は比較的同質であったと言えますが、それは徐々に変わり始め、特に2000年以降は驚異的な規模の人口動態レベルで大きな変化が起こっています。この変化はによる、現在のスウェーデン社会が抱える大きな社会問題について、日本にいてはあまり見聞きすることはありせん。その波とは、近年EU圏に押し寄せた世界からの何十万人もの難民や移民を、スウェーデンらしい政策として人道的見地から分け隔てなく受け入れてきたことにより、今のスウェーデンは人種と文化の“サラダボール化”が進み、最近その影響が顕著に残念な方向へ変わっている事実です。
ここ数年でギャングの抗争や犯罪、銃により殺傷事件の発生率が急激に上がり、今や日々殺人や銃撃のニュースが日常化していて、政府は犯罪対策に追われています。現在は海外生まれの移民が国民の2割を超えて混血化も進んでおり、労働移住や家族の呼び寄せで年間人口の約1%のペースで移民が増え続けています。
こういった大きな変化の中で、スウェーデンが構築してきた素晴らしい行政システムや福祉を利用する人達の中には、文化的背景の違いが大き過ぎる社会から来ている人達が多くなることにより、スウェーデン行政が築いてきた本来の社会・福祉システムの提供の意味と実態が合わなくなってしまってきたという現象が起きています。
まとめ
ほかの国で実際に自分の足で歩いて生活をしたり学んだりすることによって、今まで気づかなかった視点、外側から自国を見てみること、自分の将来、自分にとって良い働き方、人生の価値観など、ワーホリを経験することであなたの中では大きな変革が起こるはずです。その結果、日本を去る人もいるかもしれませんが、若いあなたのワーホリ経験はこれからの人生や社会のどこかで役立てられるはずです。
スウェーデンが近年とってきた政策によりマイナス面が顕著に出てきた面もありますが、やはり高い生活水準や進歩的な価値観、小国ながら世界に販路を持つ会社の多さ、環境保全の意識の高さ、他のヨーロッパへのアクセスの容易さ、豊かな自然に恵まれた環境など、多種の大きな利点があるスウェーデン。ワーキングホリデーを通じて日本の若者がある程度は安全に移住経験ができる国です。スウェーデンは「人種と文化のサラダボール化」が進行中ですが、逆に広い国際的視野を養える場所であるとも言えます。
ワーホリの行先として、都市の街へ行くのが良いか?そうではない所の方が良いかはどちらとも言えませんが、ワーホリで来て知り合いがまったくいないのであれば、街の方が良い場合もあるかもしれません。以下はスウェーデン3大都市の紹介です。
ストックホルム(Stockholm)
ストックホルム は首都であり一番人口の多い都市です。2023年時点の人口は約984,700人で、ワーキングホリデーに来る若者にとっては一番魅力的な目的地として注目されています。日本の都市と比べると「千葉市」と同じくらいです。確かに物価は他の場所と比べて高いですが、教育や就職の機会、社会的なつながり、多様な人種のコミュニティ、著名な観光地、エキサイティングなナイトライフ、大規模なコンサートホールやショー、展示会など頻繁にいろいろなイベントが開催されています。ストックホルムは都市環境ですが、ほんの少し郊外へ行くだけで自然に恵まれた環境がたくさんあります。ストックホルムには世界中から人が集まっており、小さい規模ながらかなり国際色も豊かです。国際線がある空港が二つある便利な街として、また日常生活における選択肢とさまざまな事へのアクセスのしやすさが良い都市として魅力があります。
ヨーテボリ(Göteborg)
ゴーテボリは、スウェーデン第2の都市であり、活気に満ちた魅力的な目的地です。人口約59万人、埼玉県川口市くらいの規模です。「東京と大阪」というような比較はできませんが、ストックホルムと比較をすると街の規模は半分以下で交通は路面電車とバス、自転車で移動する人も多いです。
この都市、周辺にも見どころがたくさんあり、ヨーテボリの近郊の空港からは、他国へも直接アクセスできます。ヨーテボリもとても国際色が豊で、街を歩いていてここはスウェーデン?と思うようなところもあります。街と人口規模が小さい分、選択は少なくなりますが動きやすい面もあります。もちろん、家賃も生活物価もストックホルムと比べると若干は安くなります。
マルメ(Malmö)
マルメは、スウェーデンの沿岸都市であり、その独特な魅力で知られる魅力的な目的地です。2023年時点で人口は約36万人弱、スウェーデンで3番目に大きな都市で、和歌山市や東京の北区と同じくらいの人口です。お隣のデンマーク、コペンハーゲンまで電車で40分くらいなので、その間は通勤する人も多いです。ヨーロッパへも近い分、更に多様性が受け入れられている環境です。マルメ近郊に住んでも20分以内にバスによって都市へのアクセスが可能です。日本へもコペンハーゲンの空港から直行便があります。
スウェーデンを楽しむ
ワーキングホリデー とは、2国間の協定に基づいて、若者が異なった文化の相手国で基本的には休暇旅行を楽しみながら、その間の滞在資金を補うために現地で就労することを認める特別な査証(ビザ)制度です。語学習得も兼ねて仕事が見つかれば、フルタイムで働き収入を得ることも可能です。少し長く海外生活を経験してみたい方にとって、留学とは違うワーキングホリデーは、自由で理想的な選択肢です。
スウェーデンは生活物価も高いですが、世界水準でも比較的基本給は高いです。しかし、公用語はスウェーデン語なので、一般的に求職をしたときはスウェーデン語を問われることは多いです。スウェーデン語を問わないようなインターナショナルで通用する職種、特にIT関係の専門職などは高給なので、専門的な知識をお持ちの方は渡航前に仕事を探してから来ることも可能です。
留学生ビザとしてくる場合、日本の大学生や院生で交換留学先にスウェーデンがある場合は良いチャンスです。そのほか市民大学や他の大学機関へ直接申し込んで留学する方法もあると思います。個人的に留学する場合は、条件が変わることもあるのでよく調べてください。