なぜスウェーデンは日本人の若者にとって最適なワーホリの国なのか?

はじめに:

あなたは今、北欧・スウェーデンに対してどんなイメージをお持ちでしょうか?
「福祉国家」「北欧デザイン」「イケア」「オーロラ」「ノーベル賞」などがキーワードとして思い浮かぶ日本から8000㎞離れた北の国。日本とは1868年から国交が始まり、常に経済、学術、文化など幅広い分野で交流をしてきた歴史があります。実のところ、スウェーデン人には日本人の感覚と似た部分も垣間見ることができたり、伝統や季節に対する思い入れも似通っています。日本の武道や伝統文化に魅了される人も多く、日本人としてワーホリで過ごす中で、“スウェーデンから見た日本”という新たな角度から日本文化の再発見につながることもあるかもしれません。

20203月から協定が開始された新しいワーホリの開拓地のスウェーデンは、国際的な経験を求める日本の若い世代にとって、魅力的な機会の一つの選択肢となるでしょう。美しい大自然とは対照的なモダンなビルや、整備された都市の街並み、現在は世界をリードする先端企業も数多い中で、快適なワーク&ライフバランスを持ち合わせた国です。日本の若者が、冒険、成長、新しい学びも期待できる理想的な場所の要素を十分に持ち合わせたスウェーデン滞在の醍醐味とはどのようなものでしょうか。

異文化との交流

スウェーデンには先史時代からこの地に住み着いた定住者たちが、苛酷な条件の土地に適応しようと生きてきた人々の根気によって築かれてきた長い歴史があります。現代のスウェーデンの産業から一般の人々の生活に至るまで、その歴史的背景が文化としてきちんと反映されており、質素な中にも自然への敬いの心、機能性とシンプルな美しさを追求する姿勢が日本人の心にも響きます。あなたがワーホリ中に訪れる場所でも、スウェーデン的な文化や伝統の継承、管理と保護がよくされている自然や遺産を見たり、あらゆる方面での芸術の軌跡を体験する機会に出会えるかもしれません。

日本とは違った視点で、実用性重視の中でも調和のとれた美しさと優しさの配慮があり、厳しい自然環境の中でも暮らしを豊かにする知恵や工夫が見られます。衣・食・住の各方面にわたり、北欧的なライフスタイルから生まれた北欧デザインを現地で実際に見ることによって、異なった考え方や視点から新たに学ぶことも多いかもしれません。

ワーホリとは、それまでの日本での日常から飛び出して“海外に住んでみること”です。単なる海外旅行とは行動と視点がまったく異なるため、それをすること自体に大きな意味を持ちます。特に、近年は人種のるつぼとなったスウェーデン。民族や生まれ育った国や文化が違う人たちと交流する機会は多いです。日本とはまったく違う価値観に触れたり、それまで知らなかったことや気が付かなかったことを発見したり、エキサイティングな日々を送ることであなたの世界観は一挙に広がることでしょう。

ともかく“自分の視座を高める!”という意気込みを持って、異文化の中に自分の身を置いてみるのがワーホリです。貴方だけなく、他国の人たちもみんな言葉の面などにも苦労しながら、新しい所で居場所を切り開いていくという大きなチャレンジをしているのです。あなたの今後の人生の航海に役立つ知恵と経験と度胸が得られることは間違いないでしょう。

ライフスタイルと価値観:

スウェーデンには「Lagom:ラーゴム」という概念があり、これがスウェーデン人のライフスタイルの基本です。その意味は“自分に合った物や量で、多すぎず、少なすぎず、ほどよい加減が良い“という意味です。厳しい自然と生活環境の中で、お互いに助け合って生き抜いてきた北欧の地の先人達によって生み出された哲学なのかもしれません。

この感覚的な概念は、その人にとっては「それくらいで良い」「無理し過ぎない」というような意味でもあり、結果的には「相手にも求め過ぎない…」という寛容さと、その許容範囲も人それぞれで良いということです。人間関係においては優しさを含んだ感覚かもしれません。

日本のような派手な娯楽は少ない国ですが、ほどほどに働いて、ほどほどに稼いで、熱心に来年の休暇の計画を練ったり、家族や友人と過ごすために働く…というシンプル・ライフに満足ができることで、人生の幸福度を高めることができるのかもしれません。スウェーデン社会は、これを支えるための福祉、柔軟な勤務時間、休暇、育児休暇などを重視するため、卓越した労働時間の管理システムが構築されています。これからの日本の若い世代が日本を変えていくべき価値観と社会システムのモデルの一つとなるでしょう。

自然と屋外活動:

国土は南北に長く、中部から北の大半は森林地帯で、南部には平野が広がります。一般的なスウェーデンの景観は、深い森、静かな湖、草牧草地、海岸線は岩の群島の景色が特徴です。ストックホルムの四季は北海道と似ていますが、メキシコ湾流のお蔭で、通常は中部より南側は冬でもマイナス二桁まで気温が下がる日はそれほど多くはなく、交通に多少の支障がある大雪の日も1~2回ある程度です。日本のように雨季もなく、雨は降っても一日中降り続くことはありません。空気が乾燥しているので、服は濡れてもすぐに乾くためか、雨が降っても地元の人は傘をさして歩きません。

日本と大きく違うことは夏と冬の1日の日照時間です。ストックホルムの場合、68月の夏場はお天気が良ければ18時間にもなり、23時以降の夜空でも青みがかったまま午前3時過ぎには明るくなり始めます。逆に冬場の111月はお天気が良い場合のみ6時間程度と日照時間が極端に少なくなり、これは北部と南部とではだいぶ様子が違います。4月に入ると樹木や植物が一斉に芽吹くため、花粉アレルギーの人には辛い季節です。しかし、大地が日に日に緑に染まり、自然の花々が咲き乱れる様子は感動的です。

スウェーデンは内陸でも湖が多く、夏にはあなたが思いつくあらゆるタイプのマリンスポーツやアウトドアスポーツをすることが可能です。毎年行われる各種の国際的なスポーツ大会に参加するのもいいでしょう。夏の終盤には野生のベリー類、秋にはキノコ狩りをしてその料理を楽しむことは、日本人にも通じる四季の味わい方です。それほど街から遠くない場所でも、野生動物に出会ったり、広大で開放的な景観にアクセスができるのはスウェーデンライフならではの醍醐味の一つです。

もちろん、あらゆる冬のスポーツも盛んです。街の近郊でも全面が凍った湖は氷上整備がされ、広大な自然のスケートリンクになります。森の中を駆け抜けるクロスカントリースキー、スラロームのスキー場ではスノーボードも盛んです。キャンプ場など屋外レクリエーション活動の場は実によく整備されており、多くの人々が自然に敬意をもちながら、自然と触れ合う時間を大切にしてほしいという姿勢が感じられます。冬場でも相応の装備をしてキャンプへ出かける人は多く、一人でもできるさまざまな屋外活動を楽しむ機会に恵まれるのは、スウェーデンでのワーキングホリデーならではの魅力的な一面です。

スローライフ感:

人口の少ないスウェーデンでは、首都のストックホルムでも“のんびり感”が味わえます。限られた時間で駆け足の観光旅行ではなくゆっくりと滞在する中で、いろいろな美術館や博物館へなどへも出向き、現地での生活を体験しながらスローライフスタイルに身を浸す絶好の機会となるでしょう。特に、ストックホルムには素晴らしい美術館や博物館が数多くあります。

スウェーデンの習慣で有名なことは「Fika:フィーカ」と呼ばれるお茶の時間です。会社勤めをしていてもこの時間は重要で、休息だけでなく同僚とコミュニケーションをとる時間でもあります。ストックホルムは、ジブリの名作『魔女の宅急便』のモデルにもなった場所であり、作品に出てくるような美しい旧市街地の街並みもきれいに保護されています。

どこの街の公共交通機関でも比較的わかりやすくできており、ほぼ時刻表の通りに電車もバスもきます。バリアフリーも徹底しているので、どんな人にもスムーズに移動ができるように工夫されており、車両も綺麗で安心できます。大きな街中には貸自転車やスクーターもあり、整備された自転車道路でのサイクリングも快適にできます。市街地から電車やバスで少し郊外へ出向けば、湖、海や平原などの大自然を満喫できるスポットも多く、日本の美しさとは違う広大なスケールと美しさに感動することができるでしょう。

国内の治安は概ねは安定しており、世界平和指数では日本と同じくらいの値なので一般的には危険度は低いかもしれませんが、やはり慣れない場所で情報が得にくい分、気を付けるには越したことはありません。

旅行の機会:

ワーホリのビザでスウェーデンに来れば、EU内もいつでも自由に移動ができるということです。2023年現在、EUには27カ国が加盟しており、これらの国へはスウェーデンからも出入国が自由にできます。この際、スウェーデンを足掛かりにして他のヨーロッパの国々へも旅行に出かける計画もしてみませんか?空路でも長距離列車やバスでも、ヨーロッパ内の移動は日本から改めて行くよりもはるかに安く簡単に行くことができます。普通の観光旅行では行けないようなローカルなところへも足を延ばし、スウェーデン以外でも思い出に残る経験ができることでしょう。

成長の機会:

もしあなたが既に何か専門的な職業スキルを持っているなら、このワーキングホリデーによって国際的な職務経験を向上させる機会を得ることができるかもしれません。スウェーデンのイノベーション産業は外国人労働者を歓迎しています。グローバルな環境でスキルとキャリアを磨きたい人にとってもスウェーデンは魅力的なところです。特殊な専門的技能を持っていたり、この業種で働いてみたい!と思うことがあれば、ワーキングホリデーのビザの申請をすると共に、あなた自身で日本から受け入れ先を探しておくこともお勧めします。一般的な日本の会社員生活では考えられない経験をすることができるでしょう。

グローバルビジネスを企画したい人はスウェーデンで多様な繋がりを作り、世界に向けたビジネスを展開していくチャンスをつかめるかもしれません。北欧最大の工業生産高を誇るスウェーデンですが、製造業以外で有名企業としては、Skype、 Spotifyなど日本にも進出しているグローバル企業が数多くあります。

言語習得:

スウェーデンへ来るなら、スウェーデン語を現地で勉強ができる絶好の機会!と考えましょう。地域によって多少の違いがあるようですが、コーディネーションナンバー(個人番号)が発行されたあとにはスウェーデン語の語学学校へ無料で通うことができます。これは強制ではありませんが、語学学校には世界中から集まった年齢も国籍もそれまでの職業も異なる人々と同じクラスで学ぶ経験はかなり面白いです。

スウェーデンでは英語がかなり一般的に通じるので、英語が話せればある程度は生活には困りませんが、やはり公用語はスウェーデン語です。英語を上達させたいのであれば、やはり英語圏の国へ行く方が良いです。仕事を探すにしても、ある程度はスウェーデン語が話せる方が有利ですし、最近スウェーデンへ来た移民は、逆にスウェーデン語しかできない場合もあります。

一般的に「日本語なら…」という人にとっては短期間で習得できる言語ではないので、やはりワーホリに来る前に基礎レベル以上の勉強をしてきた方が早く溶け込みやすいかもしれません。マイナーな言語ですが、ドイツ語にルーツを持つスウェーデン語ができることは珍しい特技にもなるでしょう。

結論:

交換留学や学生ビザ、就労ビザとは違い、気ままに憧れの北欧ライフを体験したい場合はスウェーデンのワーキングホリデービザがお勧めです。今、日本の社会人経験者にも人気上昇中の制度です。日本からのスウェーデンへのワーホリビザは、発給人数に制限が設けられていないので、きちんと申請すれば発給されるビザです。しかし、ワーホリビザは同じ国で2度は取得できません。もしも本格的にスウェーデンへの留学や就職等を希望する場合は、ワーホリ後に別のビザで再渡航すればよいのです。

とにかく、自分の勘を頼りに新しい経験の道を切り開いていくのがワーホリの魅力です。実際にスウェーデンの地に来て、初めて会う人々との交流をし、大自然の四季と景色を味わう。新しい言語の習得、仕事とライフバランスの感覚、職業的な成長の機会、社会システムを学んだり、ヨーロッパの他国を旅行して国々の違いを発見したりすることは、あなたのちの人生を必ず豊かにしてくれます。

どこの国へワーキングホリデーへ行っても、生活となるとそれなりに大変な面はあるでしょう。しかし、国際的なネットワークを作ったり、生涯忘れられない経験を30歳前にできる大きなチャンスです。新しく開かれた北欧スウェーデンでのワーキングホリデーへ出かけ、人生の意味や豊かさを考え直す長旅をしてみることをお勧めします。